あすけ聞き書き隊は、豊田市役所足助支所主催の「聞き書き講座」受講生が足助での聞き書き活動を続けて行こうと平成24年3月に結成した団体です。
私たちの聞き書き活動では、一人の「話し手」の方に対して、一人の「聞き手」が一対一でお話を伺います。
話し手となっていただくのは、足助で暮らしてきた80歳前後の方々です。話し手の方の生活や考え方、お仕事の話などを伺い、語り口調や方言を生かして、ひとり語り形式の文章にまとめ、作品として仕上げます。
聞き書きにはNPO共存の森ネットワークの指導で取り組んでいます。
平成24~令和3年度の、わくわく事業(豊田市の地域活動支援制度)に認定していただき、足助の聞き書き第3集~第9集と、足助の聞き書き第8集・第9集朗読集ダイジェスト版をそれぞれ200冊発刊しました(第1集、第2集は「聞き書き講座」の実習で発刊)。
自治会をはじめ、足助地区内の小中学校や各施設に無料で配布しました。
第1集~第9集で75名の話し手の生き様を収録しています。聞き書き集の発刊を楽しみにしてくださるかたも増え、集落でのつながり、集落どうしのつながりを醸成する役割を果たしています。
購入したいという声がたくさんありますので、自費で増刷して販売しています。足助の町並みにある、マンリン書店さんでご購入いただけます。(聞き書き集:1冊1,000円、朗読集(CD2枚付):1,500円)
聞き書き集を読まれた足助出身の方からは、「幼い頃過ごした足助町での生活が走馬灯のように思い出され、とても嬉しいひとときとなりました」というお手紙が届きました。
フェイスブックでは、「ひとりひとりの語りの行間にその時代がみえる」、「第一級の民俗史料だ」と、うれしいコメントがよせられました。
聞き書き集の完成報告会として、「あすけ聞きフェス」を開催しています。高齢者にも足を運んでもらいやすいので、足助病院の講義棟を会場にしています。
聞きフェスの来場者アンケートには、「貴重な方たちの生き様、世界観を聞き書きという形で残すことは意義深いと感じます」、「聞き手と話し手が信頼関係を築きながら一緒につくりあげて残していくというのは、すごく魅力がある」、「これからの足助はどんな地域になっていくのだろう。皆さんのお話がこれからの地域の発展に生きるといいですね」、「当時の様子を語り継ぐ大切な活動だと思う。これからの足助の地域づくりに活かしたい」など、活動を後押ししてもらえるようなご意見がありました。
活動を続けるうちに、聞き手には世代と地域の広がりが出てきました。
足助中学生や高校生、瀬戸市、常滑市、日進市からの参加がありました。
私たちの活動に共感し、東京大学、筑波大学、名古屋大学の方も、聞き手として参加してくださっています。足助地区の内外をつなぐ活動にもなっています。
地元や職場で聞き書き活動をやりたいという方が、東栄町、名古屋、安城から聞き書き講座に参加してくださったことがあります。北海道佐呂間でも、足助がきっかけとなり、聞き書きが行われています。
聞き書き活動は、人と人との関係を活性化し、歴史を紡ぐ役割を果たしています。「生」の声をまとめることで、足助で生きる「心」を記録し、継承するものです。
聞き書き作品には、今の時代の地域づくりに生かすヒントがあります。過去を残すことだけが目的ではなく、未来へつなぐ活動です。
そんな思いを持って、私たちは聞き書き活動を続けていきたいと思っています。そのためにも、聞き手や、運営メンバーとしていっしょに活動してくださる方を募集しています。
目標は第10集まで作成し、100人の聞き書き作品を収録することです。また、他地域ではじめてみようという方を応援したいと思っています。興味のある方はご連絡ください。